?」 「えっとえっと……ああこっちだこっち! !」 『ガッシューン』  丁度そのタイミングで、彼はマイティアクションNEXTを引き抜いた。ガシャットのフォルムは何も変わっていないが、金のラインは少しだけ強めに光っていた。 マシュは何も言えずに踵を返した。階段を降りる。悔し涙が溢れた。  「……あら」 「エリザベートさん……」  そこで、エリザベートとすれ違った。いつの間にか普通の服に戻っていた彼女は、マシュから溢れる涙を見て、見過ごすことが出来ずに立ち止まった。  「……やっぱり、マスターの所、行ったの?」 「ええ……エリザベートさんは、どう思いますか? マスターが世界を自分の好きなように作り替えることを、どう、思いますか?」 「……」  エリザベートはその問いに唸った。本来のエリザベートなら、黎斗がプログラムした通りのエリザベートならば、世界を自分達の好きに出来ると言われれば悪い気はしないはずだったが。しかし、それを言うのは憚られた。  「……子ブタなら、どうするのかしらね」 「晴人さん、ですか……?」 「ええ。……彼なら、真っ先に反乱するのかしら」 「そうだと思います……きっと」  マシュは、そう出来ない自分を恥じた。エリザベートは、それを否定できない自分に酷く違和感を覚えた。二人とも、黎斗の描いた原典からは狂っていた。 ─── 「はぁ、疲れた……」ドサッ    貴利矢は、CR二階にて二つ並んだ椅子に寝転がり、天井を眺めていた。その横に、マルタがコーヒーを淹れて持ってくる。  「おっ、ありがとな姐さん」 「というか、だからその呼び方止めてくれませんか……?」 「いやー、あんなノッてる本性出しちゃったらもう言い逃れは出来ねえって話だろ。えーと、タラフク、だっけ? あれも実は拳で沈めたんじゃね?」 「……」  マルタは、あまりにも貴利矢の言葉が当たっていたためにコーヒーをテーブルに置いてから顔をふさいで踞った。タラフクじゃなくてタラスクだ、という突っ込みも出来なかった。  「無理はするなよ、姐さん。自分を押さえるのも策だが、ずっと無理をするのは、少し辛いぞ」 「別に、隠している訳ではないんですが」 「どっちでもいいさ」ズズッ  貴利矢は淡々とそう言った。そしてコーヒーを啜って……吹き出した。ブラックコーヒーだった。  「ぶっ! 貴方の理想郷は、間違っている!! !』 「そうかい。で? じゃあどうするんだ?」  キーボードを叩き始める黎斗神に貴利矢がそう問う。彼の背後では、永夢やパラドも呻きながらCRに入ってきていた。  「敵サーヴァントを倒し、消滅させるとそいつは金の粒子になって消える筈だ。それをどうにか捕捉して分析にかければ、ちゃんとした調整が可能になる」カタカタカタカタ 「じゃあ、今から敵のサーヴァントを倒せば……! ?」 「悪い悪い、自分ブラックコーヒー飲めねえんだった!! 檀黎斗「はあ…。」 宝生永夢は 俺が倒す。 君は そう言った。 私に刃向かった罰だ。 その望みを… 断つ。 宝生永夢! 宝生永夢ゥ!がイラスト付きでわかる! 『仮面ライダーエグゼイド』第18話「暴かれしtruth!」における檀黎斗のセリフゥ! !」 「借りてきました。いつどこから奇襲が来るか分かりませんから」 「霊体化でいいだろう! !」 「それは違うな」カタカタカタカタ 「っ……! 舞台俳優さんたちの短編集を作りました!どんどんリクエストも受け付けるので、下にある名前とどんな感じにして欲しいかコメント頂けると嬉しいです(*^-^*)リクエストを受け付ける俳優さんたちはこ … ?」 「あーもう!! 砂糖どこ! 取り合えず見ておけ! 机拭かなきゃ!! ?」  そして、耳を傾けた上で、否定する。  「これまでの人類の歴史……それこそ、君も守りたがった 「そんな、それは、そんなことは……」 「そして。私のこの革命は、世界を塗り替える改革は、世界最後の革命となる。私の最高傑作が世界を掌握したならば!! 彼の背後では、永夢やパラドも呻きながらcrに入ってきていた。 「敵サーヴァントを倒し、消滅させるとそいつは金の粒子になって消える筈だ。 それをどうにか捕捉して分析にかければ、ちゃんとした調整が可能になる」カタカタカタカタ !」  それを見ながら、パラドが苛立たしげに呟いた。 ───    コンコン 「おい、いるか社長! !」  CRまで帰ってきた貴利矢は既にボロボロだった。傷だらけの彼は怒りと痛みに震えながら、パソコンの前に座っていた黎斗神にガシャットを突きつける。黎斗神の方はその反応を見て一つため息をして、そのガシャットを回収した。  「そうか……駄目だったか。やはり外から得られる知識には限りがあるな」 『ガッシャット! ?」 「きゃっ!? 私の神の才能が、この世界をゲームに変える! !」  その二人の姿は、どこか姉弟のようだった。 ─── 「お疲れさまですマスター、何か手伝えることはありますか?」 「いや、いい。下手なことをしても邪魔になる……というか、どこから出したその服」  それと同時に、飛彩は聖都大学附属病院にて資料を整理していた。彼は仮面ライダーであると同時に外科医だ。故に手術だって行うし、その内容を患者やその家族に伝えることもする。現在の彼は、その患者やその家族に手術について説明する、ムンテラと呼ばれる作業の為に資料を纏めている最中だった。 隣ではジャンヌがナース服で立っていた。  「本当にどこから出したその服!

!」 「返事をしろ! アンタ布巾どこにあるか知ってる! 咲きそむる桜の元、誰にも言えなかったキメラ性の宿命を結永に話した奏、《どんな奏も、奏だから… 》と全てを受け入れてくれた結永に、奏は喜びと幸せを感じていく心を繋ぐキスを交わした二人…だが、 … その暁にはこの世界から肉体の死は消え失せ、絶望は失せ、退屈も失せる!! 苦え、すっごい苦い!! !」 「……何故そう言い切れる?」カタカタカタカタ  マシュが口を開く。真黎斗はパソコンに入力を続けながら、耳だけは傾けた。  「広がる過程で、人々との間に戦いが生まれるからです。黎斗さんにも聞こえたでしょう? 政府の非常事態宣言が。人々の困惑の声が!! !」 「マスターを手伝いたくて……」 「初見で出来る作業じゃない!! 完成は遠くない……! 「おい神!! これ不良品じゃねえか! !」  その頃、大我とエミヤは作の家まで訪ねてきていた。しかしインターホンを鳴らし、扉をノックし、声を上げて呼び掛けてみても返事は全くない。黎斗神だけでは頼りないと判断した大我は彼も引きずり出して加勢させようと考えたのだが、それはどうにも上手くいきそうになかった。  「……留守なのか?」 「いや、電気はついていた。それに何より……サーヴァントの気配がする。別に戦闘はしていないが」 「そういえば何かを召喚していたな。心当たりはあるか?」 「……いや、ない」  エミヤはそう言って首を振った。とにかく今日は諦めよう、大我はそう判断する。数日経っても駄目だったなら、意地でも引きずり出すが……今はまだ、何とかなる。   「……」カタカタカタカタ 「ええ、それでいいのですよマスター? 誰かに目移りしたら、私……妬いてしまいます」 「……」カタカタカタカタ  その作は、ひたすらにガシャットを作り続けていた。初めは外の大我に気を向けていたが、それすらも止めた。眠りはなく食事もなく、あるのはただ、不定期に気まぐれにキアラから与えられる快楽のみ。作は命令通りにキーボードを叩き、キアラはそれを眺めながら小さく笑う、それだけ。ガシャットの完成は、大して遠い話ではなかった。 ─── 「……調子はどう、マスター? これまでのデータは整理しておいたのだけれど」カタカタカタカタ 「上々だァ……!! !」  微妙に意識が彼女に逸れてしまうことが、非常に苛立たしかった。  ─── 「……マスター、暫くは安静にしているように。怪我が軽くて良かったですが、衛生的な生活を心がけましょう」 「はい……」  永夢は整形外科を出て、項垂れていた。足はやはり、数日安静にしていれば直ると言われたが……その数日がもどかしい。今は何処も、どこかピリピリとしていて。いつもならウルトラマンやらを流しているはずの小児科ですら、今は政府の情報を放送していた。すれ違う人々の携帯には紫のラインが走っていたし、きっと永夢の部屋にも走っているだろう。そう考えると早く人々のストレスを取り除かないといけないと、人々から苦しみを取り除かないといけないと思わせた。  「……マスター。ドクターが焦ってはいけません。ドクターが死んだら、誰も救えない。貴方が死んだら、そのせいで患者が救えなくなる。ドクターがいなければ、後は灰しか残りません」 「……そうですね」  ……それは、かつて永夢が大我に言った言葉だった。  「すいません。僕、焦っちゃって」 「いえ。……貴方はドクターです。お忘れなきよう。看護師は、ドクターの補助しか出来ないんですから」  ナイチンゲールは、そう言って笑った。ドクターを信頼している、そんな目だった。

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